続きましてミニアルバムについてですが、まずドラマティック・ツアーのときからずっと夏ごろに「シングルを出したい」とMCで言われていましたが、一度五味君のblogでそれが白紙になった宣言がありました。あの一件は何だったのですか? 五味兄:掻い摘んで言うと、シングルを出す為の曲を作っていたんですけど、まあメジャーやからというのもあると思うんですけど、レコード会社側から、作曲段階で「もっとこうした方が良い」とかいろいろ意見を言われたりして。「そこまで干渉されてやりたくない!」というところまで踏み込んでこられた。 シングルを出すに当たってですか? 五味兄:そうです、そうです。曲を作る段階ですね。作り方がどうとかじゃなくて。 どんな曲を作れみたいな話になる訳ですか? 五味兄:僕らが作った曲に対してのリアクションが、「そこまで言われたないわ!」ってレベルに段々なってきて。たぶん僕が一番そういうのに過剰に反応してしまうんですけど。 要は出来た曲に対してレコード会社からの注文があったということですか? 拓人:担当の人から「こうしろ」という注文ではないんですけど、客観的な意見として「こういう風にした方が良いと思う」という事を僕らに言ってくれていたんですけど、僕らがそれを客観的な意見として受け入れられる人間かどうかという問題で。そこの人間関係をまだ築けてなかった。だから客観的な意見として言われたことに対しても、余計に僕らが「何言ってるねん!」みたいな感じになって。 五味兄:「レコード会社の奴が言う事やから」っていう風に割り切ろうとして考えていた部分があったし。まあ拓人にも「大きいレコード会社でやるんやったら言われて当たり前やし、それくらいお前も我慢しろよ」って怒られたりしたし、岩ちゃんにも怒られたんですけど。でもそこまで言われて、このままやっていく自信がないわみたいな感じになってきて・・・。「もう、そんなんやったらやらへん。帰る」って。 なるほど。 五味兄:白紙になったというか、白紙にしたのは全部僕なんですけどね(笑)。勝手に。それで言った後にみんなで話し合って。怒られたりしつつ・・・。中野は入ったばっかりで、いきなり何のこっちゃ分からないじゃないですか。中野にも「お前は何やねん。もう訳分からん」みたいな感じで言われて。それから皆で話合って。まあ僕が言ってることも分かってたと思うんですけどね。作った曲に対しての解釈なり、リアクションに関して「それはちょっと言い過ぎちゃうか?」みたいなことも思ってたと思うし。白紙になったけど、もう仕方ないという感じで。 具体的にはどんな感じで言われたのですか? 五味兄:曲ですか?具体的にどんな感じで言われてたっけ? 拓人:例えばAメロがあってBメロがあってサビという曲を、「じゃあA終わってすぐにサビに行って」とかそういう。 五味兄:「あと4小節イントロが長い方が良い」とか、「ここでギターが入って来た方が良い」とか。まあ分からんでもないですけど。例えば自分が他のバンドの曲を聞いて、「こういう風になっていた方が良いな」とか思うことってあるじゃないですか。それを言って良いかどうかみたいな。その人とバンドとの関係が『言って良い関係』になっているかどうかというところがやっぱりあったので。それが僕らはまだ築けてなかったから、そこで揉めたというか。 岩城君的にはどんな感じだったのですか? 岩城:そうですね、結構僕は「うん?」と思っても、「そういう意見もあるな」ぐらいで。「そうやなあ」みたいな感じで。「でも俺はこっちの方が良いと思うし」みたいな感じですり抜けていってる感じで。 五味兄:一番大人というか、仕事としてちゃんと割り切った考え方でやってる。だから(僕が)怒られるんですよ。偉いよな(笑)。 岩城:偉い?偉いかどうかは分からん。 たぶんブレてないし、自信があるんでしょうね。 岩城:そうですね。それはそうですね。 五味兄:中野はめっちゃキレてましたからね。 この件に関してですか? 五味兄:ギターの事とか。 中野:「何を素人がゴチャゴチャ言うとるねん?」ってホンマに言いそうになって。言う寸止めぐらいで(笑)。 五味兄:言わんと我慢してたんや(笑)。 中野:俺はめっちゃ我慢してた。 五味兄:僕はそれを我慢せずに言ってしまったんで(笑)。 中野:だってバンドで我慢しようと決めとったからギリギリ我慢出来とったんやけど、「何を言っとるねんコイツ?」みたいなのは正直ずっとあったんですけど。 拓人:その前にバンドで「そういう風に言われるけど、そこは割り切ってやろう」という話し合いが僕らの中で1回あったんですよ。その話し合いの直後に兄貴がいきなりblogで勝手に発表して。だから周りは「あいつ何やってんねん!」って。 一同笑い 拓人:バンドで決めた事やのに1人で感情的になって暴走する部分があるんですよ。それで「お前は何考えてるねん!」って言って、そこでまた話し合いが始まって。 五味兄:あの時ヤバかったよな、ほんま(汗)。 拓人:でもどっちも過敏になってて。清水脱退の件から次どうしようというのもあったし。 五味兄:そうなんですよね。それがたぶんデカかったんですよね、今思えば。 今なら大人で流せるような話かもしれませんね。 五味兄:今はね、その時よりはちょと冷静になれてると思うんですけどね。あの時はメンバーが決まったばっかりでバンドとして転換期というか、変化を見せていかなあかん時期やったし。時間もちょっと経ってるから、新しいメンバーが入って曲を作り直したりしないといけないとかで、かなりテンパってたという感じ。 そこから関係は改善されているのですか? 五味兄:その時よりは全然良いんですけど、それがあったから逆にすごい気を使わせて悪いなあって(笑)。 拓人:向こう(レコード会社)に対して。 そうなんですか? 五味兄:やさしくなった。柔らかくなったというか(笑)。 中野:あきらかに柔らかいやろ(笑)。 拓人:向こうで僕らという人間をどういう風に扱ったら良いのかというのをちょっと掴みにいってる感じですね。 でも結果的にはお互いにとって良かったですよね。 五味兄:そうですよね。やっぱり揉めたというのも「ここはこういう風にした方が良い」と言っていたのも、売って金にしたいという事よりも、バンドが良い作品を作っているから、それをもっといろんな人に聴かせたい、そのためにどうするかって事を考えてくれているからというのが分かっているので、意見がぶつかるのは仕方がない。今はお互いに気を使い合いながら良いバランスでやれているので。 話を戻して、結局リリース媒体はシングルからミニアルバムに変わりましたが、それは何故だったんですか? 五味兄:あれは何でやったっけ? 岩城:たぶん予定よりもリリースのタイミングがめっちゃ遅れていて。本当はこのタイミングでシングルを2回出す予定やったんですよ。 え? 拓人:元々はシングル、シングル、アルバムっていう予定やったんですよ。それが脱退とかレコード会社と揉めたりとかで無くなったんで。時間的にミニアルバムで行った方がとなって。 3曲入りのシングルを2枚出す予定だったということですか? 五味兄:そうですね。それでレコード会社も年間スケジュールを組んでたんですよ。それが大幅にずれ込んできたから。 岩城:それに今はシングルはやりたくないなとなって、ミニアルバムの方が俺らっぽいなみたいな。 バンドとしてですか? 岩城:バンドとしてそっちの方がやり易いしとなって。 五味兄:どう思います?シングルってぶっちゃけあんまり買わないですよね?僕らみたいな買い方してる人は。 ファンの人や若い人がどうなのか分からないですけど、僕らもそうやしlostageの皆さんもそうだと思いますけど、シングルはほとんど買わないですし、まずシングルを出すようなバンドをほとんど聴かないですよね。 五味兄:そうですよね。 ただシングルのメリットも1つあって、ミニアルバムよりもいろんな人に届きやすいという部分はあるのかなと思ったんですけど。 五味兄:今まで自分らの音楽を聴いたことがない人に聴かせる為の手段としてのシングルなら大いにやろうという感じはありますし、シングル全否定って訳じゃないですけど、ただ自分が「買うか、買わんか?」ってなったらシングルは買わんし。中古レコード屋とか行ってもまずシングルは買わないし。長く残るようなものじゃないかなっていう感じはしますね。 それでミニアルバムなんですね。そのミニアルバムには全部で6曲収録されていますが、ついでにあと2曲入れてフルアルバムにしようかとは思わなかったのですか? 五味兄:ああ。まず中野が入ったということで「バンドが変わりましたよ」っていう、ジャブじゃないけど、1回皆に分かってもらえる変化を早く見せたいというのがあって。フルアルバムでいきなりそれをやるとボリュームが大き過ぎて分かり難くなってしまうと思って。 拓人:経過が見える方が良いと思って。 知らない人が聴いたら全部違うバンドの曲かと思ってしまうくらい収録曲がバラエティに富んでいますが、これらは清水君がいたときから作っていたものなのでしょうか、それとも中野君が入ってから新たに作ったものなのでしょうか? 拓人:どっちもありますね。 五味兄:いや、清水がおったときに作ってた曲は1曲もないですね。 ないのですか? 五味兄:そうですね(キッパリ)。 岩城:いや、「DIG」とか。 五味兄:え?作ってないって。 拓人:原型は清水。 岩城:うん、原型は清水やで。 五味兄:嘘やん!?ちゃうちゃうちゃう。ないないない、絶対ない。 岩城:あったやん。あれ清水やで。 五味兄:嘘やん。清水が何かやったあれ? 拓人:あれに合わしてというか、スタジオに入って、早いやつでやろうという感じで一番元の原型を作ったんはしみちゃん。 五味兄:絶対おらんて。 岩城:おったで。 拓人:だって俺それをプリプロしたやつをしみちゃんが家に来たときに聞かしたら、「あの曲こんなんになってんや」って言ってたから。 五味兄:どの曲よ?それはちゃう曲やって。絶対やってないって。 拓人:「DIG」自体、元々2つあった曲を引っ付けてるやん。 岩城:その一番元。 拓人:そうそうそう。 五味兄:え?一番元?サビ?ちゃうちゃうちゃう。ないないない。だって今ある曲に関して清水が干渉した部分って一個もないはずやもん。じゃないと出してへんもん。 拓人:今出来上がってる曲に関しては干渉してへんねんけど、何て言うの・・・。 五味兄:いや、清水のアイディアは1ミリも入ってないはずやで。じゃないと俺絶対に出したくないもん。絶対入ってへん。 拓人:アイディアがっていうジャッジは難しいけど。 五味兄:いや(笑)、それはさあ、そういうテンポの曲があったってだけやろ?(笑) 拓人:初めて原型となるものを録音したやつにはしみちゃんがギター弾いてるねん。なあ? 岩城:うん。 五味兄:いや弾いてないっちゅうねん。それどの曲よ? 拓人:いやお前(笑)、俺と岩ちゃんがこれだけ言ってても、それでもまだ反論するの? 五味兄:どの? 岩城:あのジャジャジャジャジャジャジャジャのあれ、清水の曲。原型。 五味兄:一番初めのイントロのとこだけやろ? 岩城:いや、曲全部を一応・・・。 拓人:一応、通しでやったよ。 岩城:1回聞いてみ? 五味兄:・・・無いし。誰が作ったん?あれ。 拓人:いやいや、この4人。 五味兄:いやその原型は? 拓人:原型はしみちゃんと俺らの4人で作ってたんや。一番原石やん。 一同笑い 五味兄:清水は何やっとったんや? 拓人:しみちゃんはそれに合わして何か弾いてた。 五味兄:何か弾いてたって何やねん(笑)。 岩城:あれでも誰が作ったんやろ? 五味兄:あっ、それあれやろ?Aメロのコード進行がずーーっとただ回ってるだけのとき? 拓人:そうそう。だから一番元やん。 五味兄:それやったら何もしてないやん(笑)。 岩城:まあ今となっては別の曲やけど(笑)。 拓人:全然違う違う曲やけど。 五味兄:ちょっと遠回りになりましたけど(笑)、元々あったアイディアとかは、バンドとしてあったというより、それぞれ個人の中にアイディアとしてあった。清水がいたときにもある程度はあったと思うんですけど、ちゃんと曲として作り始めたのは今言ってた感じで。 中野君が加入してから、曲を用意してレコーディングに漕ぎ着けるまでの期間がすごく短いですよね? 中野:でも元々3曲くらい原型があったよね? 五味兄:3人だけになって「どうしよう?」となったときに、とりあえずやることがないというか、何かしないとヤバイと思って、僕が結構スタジオに入って曲作ったりしてたから。その時の曲とか。 岩城:半分くらいそうやな? 中野:半分、そうやな。 五味兄:そうそう。 その半分というのはどれですか? 五味兄:「母乳」と「DIG」と「脳にはビート 眠りには愛を」。 その3曲における中野君のインプットというのは? 中野:全然違いますけどね。元の形とは。 全く違う? 中野:全く違います。 五味兄:ある程度こういう感じでというのは説明して、そこからアレンジに入ってもらったから。 拓人:曲があったというよりは、曲のアイディアだけ3人で持っていて、それを4人でそれぞれ曲にした。 五味兄:「こういう展開にしたい」とか、「こういう歌のメロディにしたい」とかいうのをそれぞれ皆が考えてきて、4人になったときにそれをもう1回「せーの」で出し合った。中野も出してきてみたいな。 メンバーが変わって、作曲面で何か変わったところはありますか? 五味兄:僕の個人的な思いですけど、前は結構清水に気を使ってやっていたところがあった。僕個人にはあって。作曲も清水はすごく言ってくるし。まあ皆言ってくるんですけど。清水のクセみたいなのがあったりとか、清水がいるから出来ないこともあったんですよ。そういう制限とかが無くなって自由度が上がったというか。中野の場合は何をやっても「おお、おもろいな。やろう!」って。そういうキャラクターというか。 中野:曲って結局出来上がったものは変わるというのが分かってるんですよ。だから最初から潰すようなことはしたくないというか、ある程度ここまでまではやった方が良いというのがあるから。 五味兄:大人や。学校の先生みたいなこと言うな(笑)。 中野:そこはある程度は持って行って、持っていくためのことはした方が良いというのが経験にあるんですよ。(それを止めようと)言うのはめっちゃ簡単やし。 五味兄:そういえば清水は「そういうのはやりたくないわ」っていうのが、めっちゃありましたね。悪口とかじゃないですけど。 中野:結局最終的に出来上がったものって全然違ったりするんですよ。だからそれはもう出来るだけ上げていくというか、ある程度まで上げるために出来るだけ可能性を広げたいという気持ちはある。出来たものに関して否定するのはすごい簡単なんですけど、それを最終的に自分のやりたい形に持っていけるかどうかっていうのが、個人的にはその方が面白いというか。 |