少しだけ脱線するんですけど、アルバムの値段設定が安い一方で、次のART-SCHOOLとの対バンツアーのチケットの値段が3500円とドリンク代500円で計4000円なんですよ。中にはこれを高いと思っている人もいて。今回はちょっと止めとこうかなと思う人も、勿体無いけどいてるらしいんですよ。ライブチケットの価格はどうやって決めているのでしょうか?
五味兄:まあぶっちゃけると、あのツアーの3500円はART-SCHOOL側の基準に合わせたというか。基本的にあの人らキャリアもあるし、チケット代は少し高目じゃないですか。もちろん会社的なこともあると思うんですけど。そこで2マンでやるっていうので、向こうの設定に合わせた。普段僕らはいくらぐらい?2000円ちょいくらいですよね。それがやっぱり基準としてあるんで、高いなというのは分かってるんですけど、しがらみというか、仕方ないなというのがあって。
許容範囲だとは思うんですけどね。
拓人:普段僕らのライブに来てくれる人からしたら、ちょっと高いなと思うかもしれないですけど、ART-SCHOOLやとその値段でもお客さんが来るんですよね。
ファンからすると、値段相応のものを常日頃提供出来ているバンドだということですよね。
五味兄:タイミング的なことを言うと、僕らのツアーが始るちょうど前の月で。元々そこがガバッと空いていたので、そこで一緒に回れるタイミングがあったから。まあ僕らの妥協ではないけど、向こうに合わせてツアーをやって、次の自分らのツアーに勢いを繋げていくみたいな感じでやってみたんですけど。やっぱりちょっと高いなと思います。
分からないですけど、基準はドリンク代込み4000円ぐらいだとは思うんですよ。
五味兄:MAXですか?
ギリギリ。人によってや、どのバンドを見に行くかによっても違うとは思うんですけど。4000円はまだいいと思うんですけど、それ以上の値段を普通に取れるバンドと、そうじゃないバンドで、考え方が分かれてくるのかなという部分はちょっとありますね。ゆらゆら帝国とかは、あのキャリアでなんばHatchで3000円プラスドリンク代500円とかでやってるじゃないですか。もう解散になりましたけどね。
五味兄:そうですね。自分がライブに行くことを考えるとそれくらいがちょうどいい。でも外タレだと6000円とか普通にあるじゃないですか。だからその辺りも「どうなのかな?」というのはありますよね。
いろいろ難しいところですね。
五味兄:レア感とかもあるじゃないですか、年に一回しか来ないとか。僕らは結構ガンガンライブやるから、それで4000円とか5000円取ったら、みんな来ないやろうし、2000円台がやっぱ一番気持ちいい価格帯というか。普段自分らのイベントとかだと設定は2000円とか2300円とか。それぐらいが一番いいんかなと思いますけど。気軽に。
まあ極端に安くしてくれとは思わないですけどね。無理にカツカツでやったり赤字でやる意味も無いと思うし。
五味兄:でもハコ代にいくらかかる、ゲストにこの人を呼んだらどれくらいかかるとか、逆算して割り出す場合がほとんどだと思います。僕らが自分らのイベントで3500円とか取り出したら、ちょっと危ない、あいつらはもう終わったって(笑)。
一同笑い
「と思っとけよ」ということですね(笑)。
五味兄:そうですね(笑)。
そのライブの話で言うと、3人になって初めてというのもあるし、今までの中でも一番ライブが楽しみというか、早く観たいなと思っています。今までに2回見ましたけど、初めて見たときは曲を知らないので正直あまりよく分からなかったんですよ。音圧は凄いなと思いましたけど。
五味兄:梅田シャングリラ?
はい。2回目に見たときに、「ああ、この曲や!」って、「いいな!」と思って。音源としては一つの高みに達した作品だと思うんですけど、それをライブでどう表現していくのかというのは非常に興味のあるところです。メンバーの皆さんはその辺りをご自身でどう捉えていますか。音源の場合はマスタリングの妙もあって、すごく上手く出来ていると感じました。ライブになるともちろん違ってくるじゃないですか。
拓人:今までに無く、『音源でやっていることをそのまま再現したい』という感じでは無いですね。上手く演奏するとか、CDで鳴っている音をちゃんと出したいというよりも、そうじゃないところで、その瞬間だけの空気感を見せることが出来るライブをやりたいなと思ってやっています。
五味兄:俺もそう思う。
拓人:ちゃんと演奏する、出来るに越したことはないですけど、その為に練習もするんですけど、『本当に見て欲しいところはそこじゃない』というか。同じ曲をやっていても、そのときにしか無いものっていうのが、毎回あるから。そこを楽しんで欲しいなというのはありますね。
五味兄:アドリブで?
拓人:まあそれがアドリブじゃなくてもいいねんけど、別にCDと同じフレーズでもいいねんけど、同じフレーズを弾くにしてもやっぱり毎回違うやん。メンバーの気持ちの上がり下がりもあるし。
五味兄:でもそれは3人やから出来るっていうのもあるやろ。
拓人:ステージでの意思疎通もやっぱりやり易いですね、3人やと。
五味兄:確かに。
今、岩城君が真ん中じゃないですか。僕が梅田シャングリラで初めて見て思ったのは、岩城君の音が、ドラムが主役やなって思いましたね。
五味兄:ドラムは今までと立ち位置も変わったから、ドンって真ん中で見えるじゃないですか。『魅せるドラム』を叩くからね。今も昔よりちょっと前に出てきてるんですけど、もうちょっと前に出すか、どうするかみたいな(笑)。
出てくるんですか?
五味兄:やっぱりみんなに見えた方がいいし。一番見え難いところに居るから。『魅せるドラム』っていうのは前から思っていたから。
岩城君的にはどうなのですか?この件に関して。
岩城:うーーーん、まあ、恥ずかしいっていうのと。
恥ずかしいんですか、やっぱり?
五味兄:嘘や、嘘や(笑)。
岩城:結構上がり症なんでね。
そんなふうに見えないですけどね。
岩城:始ってしまうと、凄い『ガー』ってなるんですけど。毎回ライブは緊張感のあるピリピリしたライブにしたいなというのはあるんで。逆に前に出て緊張してるぐらいがちょうどいいかなと思う。
リラックスしてしまうよりは?
岩城:うん。前はちょっと守られてる感があったんで。うん、後ろで。リラックスしててライブするのも、「どうかな?」というのはあったんで。だからライブは毎回緊張感があって楽しいですね。一曲目からもう全力でやらないと。
拓人:『KILL YOUR TV』のツアーのときに中尾憲太郎さんが、「岩城はサボってる、岩城はサボってる」って延々言ってましたから(笑)。
そうなんですか?(笑)
拓人:それで中尾さんが「MIND JIVE」で一緒にやるってなったときに、「俺が岩城を変える」とかって、やってくれてたみたいですけど(笑)。
一同笑い
拓人:「あいつはサボってる」みたいな(笑)。
岩城:意識的にそんなつもりはないけど、たぶんサボってしまうんでしょうね。やっぱりリラックスして。
五味兄:人数が多かったら、やっぱり埋もれるから。
岩城:うん、リラックス出来ない方がいいですね、ライブは。
五味兄:緊張感が減る。
ギターが2本から1本になったことで、まず拓人君のギターがどうなるのかと注目していたのですが、一聴して感じたのは岩城君がすごく前に出てくるねんなって。一曲目が始った瞬間から「ガン!」って。
五味兄:そうやな。ドラムは出てきてるな。やっぱりギターが無くなったからっていうのと、意図的に前に出ているのと、両方あると思う。ギターが減ってるから、その分ドラムがクリアに聞こえるし、さらに前に出てきているから、やっぱ近い。
ファンサイトにメールを送ってくれた人の中には、「真ん中に寄り過ぎているので端から見たときに見えない。アンプの位置をもう少し下げて欲しい」という意見もありました。
五味兄:あーー、それはでも。どんなに大きいステージでも、いつもの感覚でやる、いつものスタジオの近さでやるっていうのがあるんで、ちょっとそれは変えれないですね。
意志の疎通的にもね。
五味兄:本当に鳴ってる音が聞こえるギリギリのところというか。
それで配置してますもんね。
五味兄:モニターに頼り出すとちょっとね、ダメなところがあると思うので。
岩城:ガンガン頼ってるけどね、モニターにね(笑)。
拓人:まあドラムわなあ(笑)。
一同笑い
拓人:アンプより後ろにおるからな。
五味兄:俺らは本当に鳴ってるドラムの音が聞こえないと。
岩城:二人はそうですね。
五味兄:だからあの配置になる。
今、岩城君のところにコーラス用のマイクが置いているじゃないですか。あれね、あんまりね、あんまり見たくないんですよね。他のファンの人も言ってました。
五味兄:ああ、岩城コーラス?
岩城:メッチャ言われるねんな、みんなに。
拓人:俺も言われたわ。
他の人にも言われます?
岩城:直接言われます。「コーラスやらないで下さい」みたいな。
五味兄:「やらないで下さい」ってのはどうなんやろ?(笑)
岩城:それはまあ、僕が決めるけど(笑)。
一同笑い
五味兄:「やりたくない」って言うんやったら、僕、別に無理に「やれ」とは言わないので(笑)。
やりたくない訳じゃない?
五味兄:無理にやらせてる訳じゃないですよ(笑)。
岩城:まあ、上がり症なんでね。
五味兄:だって自分から「やる」って言って、スタジオでマイク立て出したもん(笑)。
ああ、岩城君から「やる」って言ったんですか?
岩城:そう、そう。
五味兄:拓人がまず「やる」って言って。
拓人:だって岩城君、自分のマイクを持ってますからね。コーラス用に。
五味兄:そうですよ。
へー。
五味兄:僕が「やれっ」て言ってないですから。その辺たぶんみんなが勘違いしてるのは、僕に言われて嫌々やってて、やめてくれと。絶対違うから。俺別にいらんことやれって言わないですから、基本的には。
岩城:まあね、ちょっと変わって行きたいんですけどね。
五味兄:出来ることがあるのにやらないっていうより、どんどんやっていこうっていうのを買ってるというか。そこを「いらんからやるな」って言うよりは、やってみて面白いことを探しながらやった方がいいと思うから、スタジオでもライブでもやってみるし。お客さんの意見とかも参考にするから、100人見に来て80人「やらないで下さい」って言われたら、それはやらない方がいいじゃないですか。
一同笑い
岩城:(笑)
拓人:今はまだ僕らの中ではやってみる時期なんですね。今までやってないし。
五味兄:だから、僕が別に無理やりやらしてる訳ではないですよ(笑)。そこをちょっとハッキリさせておきたい(笑)。
それはハッキリさせてた方がいいですね(笑)。
五味兄:俺、めっちゃ勘違いされてる(笑)。
拓人:そこをだからね、お客さんも、これから無くなるかもしれんから、今しかやってない岩ちゃんにマイクが立ってるというのを逆に楽しんでくれたらいいと思う。
岩城:もしかしたら、もうやらんかもしれんな。
拓人:もう二度とやることもなくなるかもしれんし。
五味兄:でも、それだけ言われるんやったら、ちょっと考えた方がいいかもしれんな。
岩城:そうやな。曲を台無しにはしたくないから、それはまあ上手くやるけど。
五味兄:曲ありきですよね。
岩城:「曲を良くしたい」っていう思いがあるんですけど。
岩城君が好きなデイブ・グロールもバリバリにコーラスしますもんね。
岩城:そうですね。あんなふうになりたいですけど。
五味兄:声が小さいから聞こえないですよ。やっていても。
岩城:うーーーん。普段しゃべる声も小さいし、あまり大きい声を出すことが無いんで。
五味兄:二人でコーラスの練習してたよな?してないんか?
拓人:いや、兄貴が来る前にやったりしてる。
あんまりファンが「こうして欲しい」ということを、全部聞く必要はないんと思うんですけど(笑)。
五味兄:参考にはしますけど(笑)。
やりたいようにやってくれたらいいと思いますので。ロストエイジってそういうのを聞き過ぎるところがりますよね。気にし過ぎるというか。
五味兄:あーーー。でもやっぱり100人いて80人やって欲しくないことを、僕らがやりたいからやるこというのも、それでいいかといったら別の問題というか。チケットを買ってライブに来てもらって、お金を出してCDを買ってもらってというので、「聞く人がどう思うか?」というのは考えた方がいいと思うし、考えすぎるぐらいでちょうどいいかなと思います。
でもそういう話が聞けて、また一つ楽しみが増えましたね。
一同笑い
岩城:やり難いなあ、なんか俺次から(笑)。
拓人:そこでまた、「コーラスやって欲しくないと思われてるんちゃうか」と思いながら敢えてやる(笑)。
五味兄:でもこれから作る曲で、岩ちゃんのコーラスがメッチャ良い曲が1曲出来たとするじゃないですか。岩ちゃんのコーラスが無いと成り立たない曲があれば、それで「止めて欲しい」って言う人がいなくなる訳じゃないですか。だからその人にちゃんと伝わる曲を作ることが出来れば別に問題ない訳やから、別に止めるとかじゃなくて、それが出来るかどうかってことやと思います。
岩城:そうやな。
五味兄:無くてもいいものをやってると思われても。たぶん、だからいらんってなる。
そうかもしれないですね。
岩城:そうかもしれんな。これからですね。
五味兄:そこを踏まえてやって。
そうですか、楽しみですね。
五味兄:俺が「やれっ!」て言ってると思われている。・・・結局俺のところに来るねんなあ全部(苦笑)。
岩城:まあ、そういうポジションやから。
あとロストエイジの場合は課題としてMCがありますね。
五味兄:そうですね。MCは最近ちょっと楽にはなってきましたけどね。まだ、やっぱ・・・、なあ。
拓人:でもMCも含めてライブですから。
そうですね。正にそう思いますわ。
拓人:『曲の並べ方』や『間』とかいうのも大事なところやから、今日の演奏がどうやったっていうのと同じくらい、MCも。まあ1曲じゃないけど、MCという曲が入っているみたいな感覚でやらなあかんねんな。
それはプレッシャーを掛けているわけですか?(笑)
拓人:いや、でもしゃべるのって言ったら僕と兄貴ぐらいですから、それはまあちょっと思いますね。アコースティックの時もそうやし。
五味兄:でも演奏の場合は後で聴いたりビデオで見たりして、もっとこうした方がいいって分かるけど、MCはそういうの無いやん。「ここで俺はもうちょっとこういうふうに言ったら良かったな」とか。
拓人:内容って言うよりは・・・
五味兄:その雰囲気作り?
拓人:そう、そう。MCひとつでお客さんのライブに対する感情移入が変わったりするやん。
五味兄:まあ、そうやな。
拓人:この間の新宿LOFTのときもすごい思ったし。本当に小さな切欠で、その場の空気が変わるねんなあって。何年やってそこを分かってるねんなって感じやけどな(笑)。
一同笑い
拓人:今まで気にしてなかったからな、MCに関しては。
そうなんですか。
拓人:曲で結構考えていたから。
五味兄:難しいですね、やっぱMCはね。
後ろから見ている岩城君からすると、どんな感じなのですか?
岩城:MCですか?「ボソボソ」っと緊張してるぐらいでいいかなと僕は思いますけどね。
五味兄:聞こえてるの?まず俺が言っていること。
岩城:あんまり聞こえへん。まあね、それくらいが。
五味兄:聞こえたらバンドを辞めるってなるかもしれない(笑)。難しいなあ。
岩城:いいんちゃうかなと思うけど。僕、結構好きですけどね。テンション高いMCとかそういうのはあんまり。
五味兄:でも、みんなはどういうことを言ってほしいんですかね?
五味君が「イエーイ!」みたいなMCはちょっとね・・・
五味兄:それはたぶん求められてないじゃないですか。そんなんじゃないじゃないですか、僕。
難しいところですね。
五味兄:本当に何かやらなアカンのやったら、俺たぶんそういうの出来ると思う。分からへんけど(笑)。何をMCで求められているんですかね?「しゃべらんでいい」ってよく言われるんですけど。
そんなことないと思うんですけど。
五味兄:そんなことないですよね。
hanako:あーーー、どうやろ・・・
五味兄:別に聞きたくないみたいな感じ?
hanako:確かに「しゃべらなくていいのに」と思うときはある。まとまりの無いMCをダラダラするんやったら、しゃべらなくてもいいのにって(笑)。
五味兄:それをやってるときでしょ?話す内容として、「こういうことを言ったらいいんちゃうかな」みたいなのは何かありますか?
hanako:それはね、全然無いと思いますよ。
五味兄:別に取りとめの無い話とかでいいんですか?
hanako:そうですね。
逆に打ち上げのときなんかに、バンドの皆さんと話することはないんですか?
五味兄:何をですか?
MC談義みたいな。
五味兄:全く無いよ。
拓人:まあ、よっぽど酷かったときは、「あれはいらんかったんとちゃう?」っていうのはたまにあるけど(笑)。
そんなに気にしなくてもいいとは思うんですけどね。
五味兄:受けを狙うっていのうはまず違うと思うんですけど。
拓人:まあでもそれはケースバイケースや。ライブが始って、お客さんの雰囲気がこうやから、こういうMCの方がいいなっていうのを見極めるというか。
五味兄:対バンとかでも変わるしな。
拓人:MCしなくてもお客さんが『ウワーー!』ってこっちに感情移入してたら、別にしゃべるよりどんどん曲をやった方がいいやん。でもお客さんが『今日はどうなんやろな?』って探ってる感じやったら、こっちから「今日は俺らはこんな感じですよ」ってちょっと言うだけで・・・。
五味兄:そんだけ分かってるんやったら、お前やれよ!(笑)
一同笑い
拓人:だから、やってるやん(笑)。俺はやろうとしてるねん(笑)。
五味兄:お前そこまで分かってるんやったらやれよ(笑)。
拓人:それが上手くいったときは楽しいなと思うけど、やっぱりライブは。
五味兄:なかなか上手くいかへん。
MCが良いアクセントになって次の曲が更に良くなる瞬間っていうは確かにあるんですよ。
五味兄:始ったときの『ボン!』っていう感じがな。
それは確かにありますよね。ロストエイジのライブにも今までにそれはありましたけどね。そういうことは。
五味兄:たまーーーーーにでしょ(笑)。
一同笑い
拓人:でもそれはスタジオで練習出来るものでもないからな。ライブやらんと分からんもんな。
五味兄:そやな。現場を経験するしかないんとちゃうかな。
拓人:場数踏むしかない。
五味兄:結構、場数は踏んでるけどな(笑)。
一同笑い
場数はかなり踏んでますよね(笑)。
五味兄:難しい・・・。