2010年1月 新生lostageとしてバンド名を「LOSTAGE」と表すことを発表。
メンバーが4人から3人になって、変化の度合いとしては一番大きな時期だと思います。あれからちょうど1年くらい経ちました。改めて今言えることはありますか?僕らファンは「3人でどうなるのやろ?」という楽しみはありました。
五味兄:元々僕は弟と3人でやってたけど、そのときの感じとは全く違うし。そもそもドラムも違うから。「どうなんのやろ?」と思いながら最初はやっていて、やっと最近「3人っていいなあ」っていうのが分かってきたというか。3人でも出来ることが結構あるなあっていう。
はい。
五味兄:感じにはなってきた。もう1人欲しいなって思いながらやっていたときもあったんですよ、最初は。「ここであのギターが欲しい」みたいに。広がりというか。
あーーー。
五味兄:そういうのは今は無くなった気はしますね。
その感じは今回の音源にもすごく出ていますよね。
五味兄:岩ちゃんは結構3人のバンドが好きやもんな。3人でやりたがってたもんな。
岩城:3人のバンド好きやな。
聴く対象として?
岩城:ロックバンドで好きなバンド多いですね。3ピース。
拓人:ベースとドラム、ベースとギターというか、個人個人がはっきり見えるから分かりやすい。ドラムもたぶんそれが見えるんやろな。
五味兄:分かりやすいな。
岩城:分かりやすい。
今回の新作『CONTEXT』に関してですが、まずは自主レーベルTHROAT RECORDSを立ち上げた経緯をお願いします。
五味兄:UK PROJECTのときもqoop musicっていう自主レーベルがあったんですけど、結局それも形式上というか、形上そういうふうにしておいた方が良いみたいな感じで名前だけ作っただけなんで。その前のVANAIも一応自主やけど、レーベルをやっている人に手伝ってもらいながらという感じやったんで。完全な自主というのは最初の『DEMO CD-R』。あれもそういう経験が無かったときに作ったものやから。本当の意味で自主でやるというのは今回が初めて。メジャーデビューとか、いろんな経験を経て、やってみたいと思っていたことをやる。
はい。
五味兄:独立したという言い方も変ですけど。今まで感じていた違和感というか、自分で出来ることを自分で全部やってなかっただけに、納得してなかった部分があったんで、それを払拭したいというか。お金のこととかも含めて、僕らの生活も。現状の音楽業界のありかたとか、やるんやったら今しかないなって思ったんですよ。で自主。これに関しては僕メインというか、メンバーにも言ってるんですけど、「僕のやりたいようにやらしてくれ」って言って。
拓人:1回去年の年末に兄貴から「次どうしようか?」って話があって。それまで3人とも仕事しながらやってたんですけど、兄貴が「来年おれ仕事辞めて自主で動かしたい」という話があって。「それに専念したいからバイトも辞めて、自主でやらして欲しい」という話があって。それまではバンドで稼いだお金を皆で分けてたんですけど、それをこっちに回るようにして、というやり方でやらせて欲しいという話があって。僕らはそれは信頼して、「じゃあ、そうやって欲しい」って、そんな感じで話があったんですよ。
五味君は今アルバイトはしてないんですね?
五味兄:今してないですね。これ(自主レーベル)だけ。絵を描いたり。
絵の仕事も増えましたもんね。
五味兄:ま、ちょろちょろ。AVOCADOからも、もう1枚出そうという話をもらっていて、前回のデータで何枚売れたらどれくらいのパーセンテージが帰ってくるとか、どういうふうにプロモーションをやったとか、いろいろ分かるじゃないですか。聞いたら教えてくれるし。
はい。
五味兄:今までの経緯というか、ずっとアルバムとかを出してきて、これ何千枚売れましたってのが大体分かって。それを考えたら、次のアルバムを同じやり方で作って、アルバムが何十万枚とか売れるわけがないなって思って。売れるっていうかそういうやり方でやってきてないし。たぶん俺らが目指しているのはそこじゃないなっていうことが確実になってきたというか。今のアルバムを買ってくれている人とか、ライブに来てくれる人とか、そういうところに焦点を当てて考えると、その売り上げ枚数でバンドをうまく回していこうと思ったら、自主でやるしかなかったんですよね。例えばAVOCADOで出すけど、原盤権を自分たちで持って、自分たちでお金払ってレコーディングした場合のパーセンテージも全部計算してもらったんですよ。それでやっても、やっぱりこの感じではやっていけないんですよね。なので僕の中では「やるしかなかったからやった」という感じなんですけど。メンバーに口で説明しても僕が思っていることとかはうまく伝わらないんで、そこは「信用して俺にやらしてくれ」って言ったんですけど。これで行けるっていう保証もないし。結局お金の問題やったって言いたくないねんけど、でもお金の問題もあるんでね。
まあ、それはもちろんね。流通は変わらないのですよね?
五味兄:流通は変わらない。バウンディ。以前アルバムが置かれていたところには全部置かれるはずです。
プロモーション的には?
五味兄:プロモーション的には、例えば雑誌に載るとなると出稿料とかが掛かる。雑誌によってカラー数ページでどれくらいとか。そんなお金無いから、出稿料が掛かるやつは全部やってないです。でも一応自分で作ったサンプル音源と資料は今までの繋がりがあるというか、お世話になったところには送って。お金は無いので、出稿料とかは出せないですけど、もし取り上げてもらえるのであれば、よろしくお願いしますって。
はい。
五味兄:それでこの間も『音楽と人』の取材をやってもらったんですよ。やっぱり応援してくれてきた人もいるし。今は自主で一発目やというので、向こうも協力的で、僕らもそれに甘えている部分もあると思うんですけど、そういうのはやらしてもらいました。
でもそういうのはうれしいですね。
五味兄:はい。やっぱりお金がね、掛かるんですよね。リアルに実感しました。
そうですか?
五味兄:具体的な話になるんですけど、タワーレコードが前のアルバムでも、一番売ってくれているんですよ。シェアで言ったら40%以上。そこに対して支払う、プロモーションじゃないですけど、例えば置かれる試聴機とかあるじゃないですか。ああいうのにもお金払ってるんですよね、やっぱり。それにいくら払っているまでは知らなかったんですけど、そういうのも教えてもらって、予算とか出稿料とかは出せないけど、そこにはちゃんとした方がいいなっていうのでお金も用意したし。その辺は分からないなりに、何となくレーベルっぽいことをやってるんですけどね。ま、まだよく分からないですけど。
でもこれからですよね?
五味兄:はい。面倒くさいぞお前(拓人君に向かって)。
でもタワーレコードでの売り上げが一番大きいんですね。
五味兄:そうですね。数字でガッと出されて見たんですけど、ビックリするくらいタワーレコードでしたね。
やっぱり街の商店街にはCDが置かれていないことが多いじゃないですか。やっぱりタワーレコードなんや。そう考えると大きいですね。
五味兄:そうそう。アマゾンもシェアとしてあるんですけど、全国区でどこに行っているかは分からないんで。店舗毎に見たり、全体の集計で見るとやっぱりタワーが断トツで。
拓人:確かにな。CD買おうと思ったらタワーレコードに行ったらあるかな?みたいな感じで。
そうですね。無いものは無いですもんね。すごいなー、そう考えると。
五味兄:だからそこでの展開にお金かけるっていうのは、まあ。そういう裏でお金回してるとか、あんまり健全じゃないような感じで思ってたけど、やっぱりそこで展開してもらうのにお金をかけるっていうのは、しゃーないなっていうか。
拓人:でもさ、数字でそれがちゃんと出てるんやったら「あっ、それやったら意味あんのかな」って思うよ。
五味兄:そうそう。そこは今までと考え方が変わったなっていう。
全く違う視点ですよね。
五味兄:そうですねー。
レーベル運営云々となると。
五味兄:そうですねー。そうやね。
これも解った上でバンドをやるというのは、また違った・・・
五味兄:全然違いますね。
肝心の音源の方なのですが、今回聴いてみて、最初に思い浮かんだのは「フラストレーション」というか「ストレス」をぶちまけるような感じだなと思いました。「溜まってるな」って思ったんですけど(笑)。
五味兄:僕らがですか(笑)?
すごく開き直った音やし。
五味兄:開き直りは、自主でやるというのがまずあったから。そもそも何故ミニアルバムなのかというと、自主をやるというのをまず決めたじゃないですか。いきなりフルアルバムやったら不安やというのがあったんですよ。
はい。
五味兄:全然分かってない段階で、そこまでするのは。お金もかかるし、まず自分でやってどんな感じか確かめたいというのもあって、コンパクト目にまとめて1回流通させてみるっていうのでミニアルバムになったんですけど。自主でやるっていう気持ちで動いているから、今までより気を使わずにやれるというか。自分でやりたいことと、求められていることのバランスというか、その辺がちょっと変わったような気はするんですけど。どうですか?僕1人の音源じゃないし。
拓人:自分らが作ったものを自分らで売るっていう感じが今までで一番強いから。今までみたいにレーベルの人が関わっていない。その人は売るのが仕事じゃないですか、宣伝したりとか、という人のことを考えながらっていうのが、全部こっち側にあるから。
五味兄:そうですね。
拓人:自分がいいって思うやつを作って、それを売ろうっていうような感じ。単純な感じ。
その感覚がサウンドに出ているのですか?
拓人:もし今回のやつがAVOCADOの人と一緒にやってたら、たぶんまた違った作品になってたやろうなとは思いますね。
なるほど。
拓人:こういうふうにはならんかったと思う。
五味兄:客観的に見れなくなるっていう怖さもありますけどね。自分でやるとなると。第三者が関わってこないので。表現自体が主体的になったというか。
レコーディングを奈良NEVERLANDで行ったのはサウンド的な狙いがあってのことですか?
五味兄:いや、それは(笑)。
岩城:経費削減です(笑)。
五味兄:そうです。田舎のライブハウスって結構空いている日があるんで。ま、岩ちゃんの義理の親父が店長をやってるから、ちょっと貸して欲しいって言ったら、すごい安い値段で貸してくれたんで。エンジニアを呼んできて。ま、エンジニアのこっちの滞在費とかを考えても、全然今までみたいにスタジオを借りてやるよりは、抑えられるっていうのが一番。
岩城:安い。
いざやってみての違いというのは?
岩城:そりゃ、音はメチャ抜ける、クリアな感じじゃないかもしれないですけど、やっぱり一番リラックスしてやれる。僕は飲みながらやってましたからね。レコーディング。
五味兄:ちょっと家に帰ったりも出来るじゃないですか。家も近いし。
岩城:だから本当にやりたいようにやろうみたいな感じですね。伸び伸びレコーディング出来ました。時間も気にしないでいいし。
五味兄:やりやすかったですね。最小限で。僕らとエンジニアしかいないんで。気は楽でした。
岩城:「1回飲みながら録りたい」って言い出してんな。
飲みながら録ったものを後から聴いて、そのときの感覚と違っていたとかいうことは無かったのですか?
岩城:でもね、めっちゃいいと思いましたよ。ちょうどね、「楽園」のときに、なんか良くなかったんですよ。いいテイクが録れなくて、「ちょっと飲むわ」みたいな感じで。「飲んでやりたい」ってなって、飲んでやって1回2回目くらいのテイクでめっちゃいいのが録れて。「これで!」みたいな感じですよね。
五味兄:そこで、それを職業としているマネージャーとかね、レーベルの人がいたら「ちょっと飲んでやるわ」って言えないじゃないですか?
あーーーー、なるほどね(笑)。
五味兄:仕事で来ているし(笑)。そういうのも緩いっていうか・・・。
拓人:自分ら基準で「OK」が出せるというか。
五味兄:気遣いは無かったわな。
岩城:とりあえず「絶対いいの録れるから」みたいな。「絶対いいの録れるから」って。「飲むわ」みたいな(笑)。
昔の音楽では特に、ドラッグの影響で良くなっていたりすることも実際あるので、ジミヘンにしてもそうですけど。そう考えるとアルコールの力も一概にマイナスにではなくプラスに働くこともあるのでしょうね。
五味兄:俺は飲んでないから分からへんけど。ええ感じになってた?
岩城:そうやな、俺だけやな。
サウンドで言うとギターがすごく前に出ているじゃないですか。音もすごく生々しいし。拓人君のギターは3人になってから本当に変わったなあと思います。スタイルもかなり変わりましたよね?
拓人:3人になってから根本的なものが変わったんですよね。背負う部分が大きくなったのはもちろんなんですけど、他の2人がより刺激されるように、ギターでうまくもっていかなアカンっていうはありますね。3人になった時点から、すごく気負うというか、やらなアカンねんなっていうのは思い始めたというか。それまではギターがもう1人おったから、そこに乗っかっていく感じやったんですけど。それは3人になってから変わったかなー。他のメンバーから「もっとこうしなアカンで」みたいなのも言われていたし。
聴く音楽が変わったとかもあるんですかね?
拓人:いや、そんなに?
五味兄:いや、お前絶対変わってる(笑)。
拓人:変わった?変わったというか、その(笑)。
岩城:ジミー・ペイジばっかり聴いてる(笑)。
五味兄:なあ(笑)。全然違うもん(笑)。
拓人:ギターが格好良かったら向き合うというか、好きになりましたね、また。
ギターを?
拓人:ギターを。他の人がどういうギター弾くんかなというのを考えながら聴いたりするのが楽しいというか。ギターって面白いなって思って。
五味兄:めっちゃ変わったと思うで。聴いてる音楽とかも(笑)。
拓人:ははっ、そうかな(笑)。まあそのときそのときで自分が好きな音楽とかもあるんですけど、ギターが真ん中で「ドーン」て鳴ってる音楽は好きになったかもしれないですね。
はい。あれ何ていう曲でしたっけ、メッチャねちっこく弾いてる。ジミー・ペイジみたいなギターが延々続く。
拓人:「私」ですか?
五味兄:ハードロックみたいなやつ。
拓人:だから分かりやすい、ギターが前にパッと出てくるみたいな音楽は好きになったかも。
でもああいう曲は今まで無かったですよね。
拓人:でも曲の土台が出来上がってきたときに、何とか自分がそっちの方向に持っていこうとしているとかも、やっぱりあるかもしれないです。作っているときに。
今回のアルバムは、ドラムだけ聴いていても楽しいというか、岩城君がかなり好きにやっているなとは思いましたね。
岩城:はい。しっかり録れているでしょ。ドラム、やっとしっかり録れたなって感じするんですよね、このアルバムで。
五味兄:でもいっつも好きなようにしかやらんもんな、君は。
拓人:んふふふふふ(笑)。
岩城:うーーん。でもなんか、後で聴いたら「ここもっとこうすればよかった」とか「ここもうちょっと詰めたらよかった」っていうのが。
五味兄:あるの?そんなん。
岩城:うん。でも今回はあんまりそういうのが無い。なんか10年やってやっと、ちゃんと録れたかなっていう。
五味兄:ずっと好きなようにやってるなって感じやけどな。傍から見てたら(笑)。いつも(笑)。
岩城:ちゃんと曲のことも考えて一番納得のいくフレーズとか、音とかに出来たと思うんですけどね。
さっきのお話の続きじゃないですけど、今までで一番ギター、ベース、ドラムが三身一体ですごく良いバランスでうまく組み合っているなってすごく思いました。3人でやる上で掴んだというか、「これがLOSTAGEサウンドや!」というものが、もうすぐそこに見えるくらいのところまで来たなと僕は勝手に思いました。次スゴイの来るぞ。とんでもないのが来るぞって。「LOSTAGEサウンド」の完成形に近づいたなって。
五味兄:次にスゴイのが来る感じは僕もしてる(笑)。今回やりきった感って実際ないんですよね。
そうですよね。
五味兄:さっきも言ったけど、これで試したいという部分もあって、そんな出来上がってないもの出すなよって言われるかもしれないですけど、音楽だけじゃない、いろんな意味がある音源なんですよね。皆にどこまでどうやって届けるとか、全部自分らでやってみるというのがあったんで。ま、次スゴイの来ますよね。あれ?そういうのはない?
拓人:あるあるある。
岩城:これでな、しっかり忠実に音楽作るのに取り組んだら、これくらい出来るってのが分かったから、もっと忠実に。
五味兄:そう。これが切欠で次そこに使える労力とかを音楽に集中させたいっていうのはすごいあるんですよ。ある程度売れたら音楽にも還元出来るから。だから基盤作りのために作ったというのはありますね。だから次はたぶんもっとガラっと変わるというか。まあフルアルバムですけど。
あんまりアルバムのインタビューで次のアルバムのことばかり言うのはどうかと思いますけどね(笑)。
五味兄:これはこれで、すごいやったなと思うんですよ。
さっきも言いましたけどやり切った感は・・・。
五味兄:全然無いですね。
僕ら聴く側にも確かにそんなには伝わってこないですけどね。
五味兄:やりきった感でいうと、前のアルバムの方がそのときの全てを出し切った感じはあったし。
で、その話の延長じゃないんですけど、ファンとしてですね、ここで欲しいのは、3人体制での代表曲というか、大名曲が欲しいなと。前のアルバムと今回のアルバムで、いっぱい良い曲があるんですけど。
五味兄:突き抜けたやつ?
が欲しいなーーって。
五味兄:それがね、さっきの「手紙」に関してなんですけど、出来たそのときは、別にそんなに思ってなかったですけど。ま、毎回狙ってるんですけどね(笑)。難しいな。
岩城:狙ったら嘘くさくなるもんな。
五味兄:どういう曲なんですか?大名曲って言ったら。
というか今までの中でロストエイジの代表曲ってどれですか?
五味兄:代表曲ってあんまり無い。意識が無い。そこに意識が行ってないからかもしれないですけど。
岩城:メンバーそれぞれで好きな曲も違いますからね。
五味兄:その辺の意識の違いもあるんですよね。まあそういう気持ちで作れば出来るのかもしれないですけど(笑)。
まあ意識して作るというよりは、自然に出来ていくものなのでしょうけどね。
五味兄:でもそれは僕も無いなと思いますね。今のところ。
普通に考えたら「手紙」、「MIND JIVE」。
五味兄:その辺になってくるんですよね。長くやってるからというのもあると思うんですけど。
でも実際ライブでも盛り上がりますしね。
五味兄:うん。
拓人:その代表曲っていうのもさ、例えば昔の4人時代から僕らのことを知ってくれている人が思う代表曲と、3人になってから初めて聴いた人が思う代表曲って絶対変わってくると思うんですよね。分からんやん、結局。代表曲って決めるのは結局聴いた人の感覚でしかないから、僕らが代表曲と思っていても代表曲にならないときもあるやろうし。
五味兄:たぶんそれを代表曲にするために、例えばPV(プロモーションヴィデオ)を作ってどうさせるとか、何かのタイアップにさせるとか、そういうやり方もあるやろうし、単純にただ出しているだけやったら代表曲にならないと思うんですよね。どうやったら出来るの?まあ僕無くてもいいかなと思いますけどね。分からないですけど。出来たらあった方がいいですけど(笑)。それを作ってどうのこうのっていうのは、そこまで考えてないですね。
岩城:でも欲しいけどな。
五味兄:ライブでやったらすごいみんなが『ガーーー!』って盛り上がってとか。気持ちいいけどな、そうなったら。
岩城:ま、PVとか作ったら違うんやろな。
今回PVは作らないんですか?
五味兄:やっぱ予算的な面で。ちゃんとしたものを作るとすごいお金かかるんですよね。で、お金ないからと言ってドキュメントのDVDを作ってるんですけど、撮影してくれている監督のミノル君に頼んで、弾き語りしているやつだけ撮って。まあPVじゃないけど。宣伝もかねてWEBにアップしたりとか、メンバーは出てこないですけど、ドキュメントの映像をうまく繋いでPVっぽいのを今作ってもらっているんですけど。まあ一番大きいのはお金の問題ですね。
今は昔と違ってYOUTUBEもあるし、お金をそんなにかけずにやる手段っての もまだありますよね。
五味兄:そうですね。可能性はある。
ファンサイトだから聞くってのもあるんですけど、今3人でライブをやっていて4人時代の曲をやるときもあるじゃないですか。「RED」とか「MIND JIVE」とかをやってくれると、条件反射的にテンションがポン!と上がるんですけど、ある瞬間でふと冷静になる瞬間があるんですね、どうしても。「あっ、4人のときとは違うんや」ってのがどうしてもあるので、聴く側としては気持ちの持って行き方が難しい。新体制の曲が並んでいる中に旧体制の曲が入ってくると「うれしい」という気持ちと「あれっ?」っていう気持ちが両方あって難しい。他の人がどう思っているのかは分からないですけど。今のアプローチで言うと4人時代の曲が100とすると、3人で100に近づけるためのアプローチじゃないですか。そのアプローチでは、いくらがんばっても100にはならないのかなと。近づくことはあっても絶対に100にはならない。それだったら、全く違う方法論とか解釈で「MIND JIVE」をやった方が「思わぬ驚き」や「違う可能性」があったりすることもあるのじゃないかと思ったりするのですが。やっている当人としてはどうですか?
五味兄:それはね、4人時代の曲をやるに当たって、スタジオで練習するときに、やっぱそういう話になるんですよ。そりゃ4人でやっている感じを3人では出せないから。それに近づけても無理やけど、かと言って既に音源になっている曲を全く変えてやると、それはそれでまた別ものになってしまうんで。たぶんどっちにも抵抗があると思うんですよね、みんな。結局4人の感じにはならないんで、そうじゃないやり方も考えなアカンねんけど、 だからと言ってガラっとは変えられないっていう。
そこは変えれないんですか絶対に?
拓人:たぶんそれを全然変えてしまうと、やっている側目線ですけど、変えてやってしまうと、「自分が聴きたかったあの曲じゃなくなってる」みたいになってしまったら、4人のときの曲をやる意味もなくなってしまうような気もするし。そこは結局100に近づけるというよりは、それは絶対出来ないんですよ3人で。じゃあそれを全く別のアプローチでやっても100と比べること自体が出来ないというか。それを超えてる超えてないというよりは、違うアプローチにすると、違う曲みたいな感覚になってしまったら、昔の4人のやつをやることが、あんまり意味無くなってしまうんちゃうかなっていうふうに思ってしまうんですよね。
比べられるから違和感を持つというか。拓人君の言うとおりで、「やる意味」云々となったら、確かにその通りだと思いますけど、比べられる現状があるから「ここにこのフレーズがない」ことに疑問を持つというか。だからいつも鳴ってない方のギターフレーズを頭で追いかけてしまうんですよね、ライブで。
五味兄:くくく(笑)。それはでもどうにもならない問題やと思うけどな。それやったら4人のときの曲をやるっていう、行為自体がね。
そうですね。
五味兄:そこでまず考えないといけないというのもあるんで。何のためにやるかというと、それを聴きたい人がいるとか。別のアプローチでやるんやったら、その別のアプローチを生かした新しい曲を3人で一からやる方が建設的やと思うんですよね。その辺は未だに僕らもスタジオでワーワー言ってやってますけど。
拓人:そう。昔の4人のときの曲をやるときに、ギターを考えるときに、1回ツルって聴いて、それも主観が入るんですけど、印象に残っているフレーズを出来るだけ使うようにしてるんですよ。もう1人が弾いていたギターにしても、自分が弾いていたギターにしても。ツルっと1回曲を聴いて、「後で思い出したらここはこのフレーズの方が印象に残っている」という感じを出来るだけ追っかけるようにしているというか。だから前のを追っかけている感じになっているんかなって思うんですけど。
hanako:私の個人的な意見は、今見に来ているお客さんが求めているのって、3人のLOSTAGEを見たいって人が圧倒的に多いと思っていて。昔からのファンの人もいるけど、期待しているのはたぶんこれからの3人の音源やから、逆に4人の時の曲はもうやらなくていいかなっていうのがあるんですけど。
五味兄:ははははははは(笑)。新しい意見出てるじゃないですか。
岩城:結構言われますけどね、確かにその意見は。
拓人:無理にやらんでもいいって?
五味兄:やらんかったらやらんかったで、「あの曲聴きたい」とか言われたらまたそれを参考にしてって(笑)。
hanako:ファンは勝手なことを言うから、そうなんやけど(笑)。
五味兄:その中で翻弄されている(笑)。
岩城:でもやってて、これはやってて「実際どうなんやろな?」って思いながらやってる曲あるからな。
五味兄:そうですよね。難しい。それは俺はなんとも言われへんわ(笑)。1回ね、この間アートスクールの戸高君がいたときに「SURRENDER」とか4人でやってみようかって、やってみたらやっぱ、あの感じは出たんですけど、それに対してお客さんとかは「いや、メンバーじゃない人が入ってやるのはどうなん?」みたいな人もいるし、「あれ聴けて良かった」という人もいたし。だからと言ってサポートで誰かを入れてやるというのも何か違うし。そのときはたまたまで、そういうハプニング的にあるのは面白いと思うんですけど。
あれYOUTUBEでも見れますよね。
五味兄:そうですね。これはもう、4人から3人になったというのがあるからどうしようもない。3人から4人になってたらな、あれやけど(笑)。逆にもうどうしたらいいか教えて欲しいくらいの感じですね、そこは、誰かに(笑)。
拓人:そこは3人のを求めている人よりも、4人時代のあの時代のあの曲が好きやって人に向けて、4人の曲をやっているから、新しいお客さんに向けて新しいアプローチをするというよりは、昔から好きやって思ってくれていた人にも聴かせてあげたい。そっちに向けて昔の曲はやっているところがあるから。3人になってから好きになった人に向けてやるというよりは、昔から好きやと思ってくれている人に聴かせてあげたいなって。
岩城:さっきから同じこと何回も言ってる(笑)。
拓人:ループしてたな今(笑)。
岩城:その前の説明もそうやったな(笑)。
やる側のテンションとしてはどうなんですか?
拓人:まあ3人になってからの曲の方が3人でやっていてもしっくり来るし、同じように4人時代の曲をやったときにしっくり来てるかといったら、やっぱしてないんですけど。
一同笑い
五味兄:くっ(笑)。言い切ったな今(笑)。
拓人:してないやろ。そんなところで嘘付いたってしゃあないやん、だって(笑)。
五味兄:まあまあまあ(笑)。
拓人:でも、でも、やってあげたいというのがあるからやるんですよ。
五味兄:不完全でも、それも込みで楽しみたいというのがあるんですよね。いる人といっしょに。昔から来てくれている人とも。
拓人:すごい我がままを言えば、まだまだ不完全ですよって思うかもしれへんけど、不完全やけど、「それでもやってくれる」と思って欲しいというか。
五味兄:あははは(笑)。
一同笑い
拓人:それを分かって欲しいみたいな。
一同笑い
岩城:強引やな。強引やな。
五味兄:単純にね、10年のうち8年とか4人でやってて、今3人でやって1年とかで、持っている曲のバランスも全然違うじゃないですか。その中で何年か続いてまたそのバランスが変わってきたときの感じ方はまた違うと思うんで、それはまあもうちょっと時間が経てば変わってくるのかなと思いますけどね。
確かに10年という歴史がありますもんね。
五味兄:そっちと比べる感じがやっぱ変わってくると思うんで。どうしても比べてしまうんで、全てを。
だからね。さっきの話じゃないですけど、3人体制の代表曲があると、こう気持ち良く上がって行ける。
岩城:ああーーー。
五味兄:ああーーー。
って思うんですよ。
岩城:確かに。言えてるよな。
五味兄:でもさ、僕の中でテンションの上がり方とかで言ったら、前のアルバムの1曲目とかは。
拓人:うん。
五味兄:まだ1枚しか出てないのであれなんですけど、「ひとり」って曲が今のところ代表曲的な感じで、気持ちの持って行き方は、ライブでもそんな感じでやっているかなっていうのはありますね。
「ひとり」と最後に「夜に月」をやってくれるとすごい上がるんですけどね。「あっ、ここで『手紙』か」って思うときがある。
一同笑い
五味兄:それ(笑)、今日ちょっとやりにくいなー(笑)。
一同笑い
まあ僕らファンは本当に好き勝手言うんでね。そこを一々気にしてたらバンドなんてできないと思うし。
五味兄:そうですね。お客さんとかライブ見に来てくれた人は好き勝手に言ってくれていた方が、僕らもいろいろ考えやすいというか。気を使って何も言わん人ばっかりやったらね。
拓人:そういういろんな人の思い入れとか、やる側の思い入れとか、そういうのが入り混じっている感じが、何か楽しい。
面白いですね。
五味兄:思い入れがあるから言ってくることで。ありがたいですよ。代表曲か。ちょっと考えてなかったんで(笑)。
いろいろ気にするバンドですもんね。
五味兄:そうなんですよ。それいいとこもあるんですけどね(笑)。自分で言ってて(笑)。
前田さんから見てどうですか?
前田:3人になってからまだアルバム1枚と次の作品とだけなんで、これからのテーマかなと。まあそういう宿命を背負っちゃった。
五味兄:宿命を?
前田:宿命を。