続いてですが・・・・・、8月にリリース予定の新作が違法にアップロードされていたことが発覚しました。この件について聞いてもいいですか?正直、ショックですよね。
五味兄:ショックでしたね。『ウワーー』ってなったけど、でも現状当たり前にあること。正規ではない音源が違法にダウンロードされまくっているという仕組みのようなものがずっとあったわけじゃないですか。たまたま僕らがそういう渦中にいなかっただけで。昨日ブログにも書いたんですけど、実体験として自分がそこに置かれたら、やっぱり感じ方も変わる。で、そういうことを僕らが言うと、「いや、私はそんなのダメだと思います。絶対買います」って人がいっぱい居て、そういう発言とかをいろいろ見たんですけど、それですごくいいと思うんですけど、それだけじゃないっていうか。作った音楽に対して対価を支払うというだけが誠意というわけじゃなくて、そういうシステムがある現状を認めつつ、どうやってそれを乗り越えていくというか。僕らが音楽で生活を回しながら、みんなにもライブとか音源を楽しんでもらって、というのをどういうふうに、それを乗り越えて作っていくかということの方をもっと考えるべきで、「みんなでCDを買いましょう」というのにエネルギーを注いでいる場合じゃないな、っていう感じはすごい感じましたね。
拓人:それでCDが売れなくなるやろうと思ったわけじゃなくて、関係者っていうか、今回僕の兄貴が自分でサンプル発送しているし、手渡しで渡しているから、すごく信頼のおける人にしかサンプル音源とか渡ってないはずやのに、それが上がってしまったっていう。誰かが故意に上げたかもしれないですし。
五味兄:それも分からへんからな。
拓人:分からないですけど、もし故意に上げられていたんやとしたら、その行為自体が残念やなというのが、まずあったんですけど。でもそれで「CDが売れなくなるやんけ、コノヤロー」というふうにはあんまり思わなかった。
五味兄:だからもう良心の問題とかになってくる。システムがどうとかじゃなくて。レコードとかCDとかいろいろなメディアがあって、音楽の聴かれ方が今後今以上に変わってくるのかどうかも分からないですけど、たぶんもう出尽くした感というか、今それが一番飽和した感じがするんですよね。レコードもあってCDもあって、配信もあって、そのバランスが変わってくるだけなんで、たぶん。そうじゃないやり方と言ったら、出した音をそのまま脳みその中にぶち込める技術みたいに、新しい何かが出てこないと。もうこれ以上無いやろってところまで来ているから。法律がどうとか、違法か合法か?みたいなところじゃないと思うねんけどなー。どうしたら良いか分からないですけど、「こういうふうになってるよ」ってことをみんなに知っておいて欲しいとすごく思いましたね。僕は知っていたけど実感として無かったから、その感じたことを書いたり言ったりしたけど。うん、だから僕らが可愛そうとか、ミュージシャンがこういうことを考えているっていうことよりは、もっと別に考えないといけないことがあると思うんですよ。音楽だけじゃないし、たぶん。
たくさんCDが売れるバンドやアーティストの音源が違法アップロードされるというのは実際あるけど、LOSTAGEのような自主でやっているような音源が、発売の1ヶ月半前に違法アップロードされてしまうのは、やっぱりショックやなとは思いますけど、現実として、違法アップロード云々という話は、今後も永遠に付いて回るものというか、逃げられないものだとは思うんですね。
五味兄:無くならないでしょうしね。
うん。それも含めて自主レーベルでの音源を、っていう部分がどうなっていくのかなって。
五味兄:めっちゃ難しいですけどね。CDに物としての価値をどうやって添えるかってね。例えば全部に特典が付いていたり、1個ずつ僕らのサインが入っていることで、違法ダウンロードという問題を解決したことにはならないですからね。まあムカツクけどな。
岩城:今の中高生とか若い世代は当たり前なんやろな。俺ら世代はショックやけど。
五味兄:それをなーーー、当たり前と言いたくないねんな。
拓人:でもさ、CDに付加価値をどんどん足していったら・・・。
五味兄:雑誌もさ、付録がいっぱい付いてきてるやん。ああいう感じになってきてるねん。
拓人:そうそうそう。ああいう感じになってくると、ちょっと本末転倒というか、「何のために作ってるんやろ、これは?」みたいな感じになるやん。
五味兄:でもやっぱ特典とか付けなアカンねん。
拓人:それで特典が、例えばAKB48のCDみたいに抽選券が付いてくるみたいになってくると・・・
岩城:ああ、あれな。何枚も買う奴おるな。
拓人:1人で「5枚買います」って、そういう売り方やと何を売ろうとしてんのか?
あれは完全に本末転倒ですよね。
五味兄:あれは買わせるっていうか、購買意欲を掻き立てるために、あの人らが考えた方法や、それは。
拓人:それでビジネスとして実際に成功しているし、何十万枚とか何百万枚とか売れているっていうやり方を考え出したアイディアとしてはすごいですけど、そういうふうにはしたくないとも思います。
五味兄:だから「じゃあ、どうするか?」っていうことを考えてやりたいんですけど、まだ答えは出てないですけどね。
岩城:考え中やな。
音源が出来てから2ヶ月も3ヶ月も経って発売という、そこは問題の一つかなと思いますけどね。その間に流出があると。
五味兄:流出だけを言ったら、もうサンプルを作らずに3人で出来たものを完全に囲っておいて、発売と同時にドン!ってやったら絶対に流出しないですけど、それが出来ないんですよね、やっぱり。「じゃあ、サンプル盤作るなよ」って人もいたけど、それは出来ないんですよね。やり方としてやっぱり。
拓人:そっちで失うものの方が大きい。
五味兄:そうやねん。
拓人:だから今現状としては、もう流出してしまったから、流出してしまったのをどうやってプラスに変えるのかってのを考えるしかないんですよね。
もう起こってしまったことですからね。
岩城:もう1人歩きしまくってるもんな。
五味兄:そうやね。
でも、かえってファンが増えたりすることもあるかもしれないですけどね。
拓人:だから逆にその話題をもっとでかくして、「なんか流出したらしい、LOSTAGEっていうバンドの」みたいに。
どうせやったらもっとニュースになったらいいのにって思いましたけどね(笑)。
拓人:なったらいいと思います。
五味兄:そうですね(笑)。
拓人:それで聴いて「あっ、ええバンドやねんな」みたいなのでライブに来るお客さんが増えたら、まあ。
そのときにCDを買ってくれたらいいわけですもんね。
五味兄:でもどういうふうに人の心が動いているかは見えないですもんね。どの人が違法ダウンロードして、ライブに来て、CDを買ったとかは分からないですから(笑)。
一同笑い
拓人:切欠はあれでしたみたいな(笑)。
五味兄:難しいよな。でも率先して「買います」って言ってるやつほど、俺逆に怪しいかなって(笑)。
岩城:いや、買ってくれるよ。
五味兄:もう何を信じていいか分からへん(笑)。
岩城:疑心暗鬼になってる。買ってくれるよ。
どうやろ、でも極端に売り上げ枚数が減るとかあるのかな、分からないですけど。
五味兄:でも次のが出たら、ガッツリ月1回くらいで俺のところに集計が来るから。どれくらい売れているとか(笑)。
岩城:結局ダウンロードしてるガキとかはCD買わんやろ。
五味兄:いや、そういう子らにも聴いてもらっていかんと、俺らはサバイヴできへんから。
岩城:だからダウンロードする奴はそれはそれでいいって。
五味兄:それはそれで、そういうもんやと切り捨てるのか、そこをどうケアするって考えるのか、それはこれから考えていかなアカン。
岩城:そうやな。
五味兄:まあヤバいっすね。
どう収束するんですかね。
五味兄:どうしたらいいんかな。
ダウンロードの話はこれくらいにして。この10年間、ミニアルバムを3枚、フルアルバムを4枚、コンピレーションもあって、かなりコンスタントに作品もリリースしてきて、ガムシャラに突っ走しってきたというイメージがあります。メンバーがこの10年を振り返って思うことは?
五味兄:個人的には10年かけてやっと土台が出来て、バンドだけじゃなくて、レーベルやるにしても、それぞれの環境にしても、安定期って言ったら変ですけど、基盤がやっと出来たかなって言うくらいの感じですかね。代表曲を作るとか、これからフルアルバムをもう1回リリースするとか、そういうのはすごい基盤が出来た上で、やっと実力を発揮出来るなっていうのは、まあ3人になってからというのはあるんですけど、思いますね。集中してやりたい。僕だけ仕事やめてもうそれに集中してるから、そう思っているかもしれないですけど。10年でやっと基盤作りが出来たなと。人の繋がりとかも。そう感じます。
岩城:そうやな。
一同笑い。
五味兄:その、人の言葉借りるの止めようや(笑)。
拓人:ちょっと落ち着いて向き合えるようになったというか。「じゃあ、どうしようかな?」みたいな。でも焦るけどな。
焦りますか?
拓人:焦るというか不安というか、実際生活のこともあるし。自主でやって、今年1年、来年1年がんばって、それでも生活をしていくのが難しくなってきたときに、「どうしたらいいんかな?」みたいなことも考えるし。そういうのは、今までもずっとあったんですけど、そういうので出来なくなるようにはならないつもりやし、なりたくないけど、「そうせざるを得ないときが来てしまうんじゃないか?」という不安もやっぱりあります。例えばメンバーの生活のこととかで今年1年は活動出来ませんっていう状況になるかもしれないし。
五味兄:まあ、終わるかも感は変わってないな。
拓人:10年ずっとノンストップで活動を止めたこともなかったから。メンバー脱退からの立て直しも早かったやろうし、途切れずにずっとやってきたから、それが止まったときにすごい喪失感があるんちゃうかなみたいな。
うん。
拓人:って思うと自分らが10年やってきたというのは自分の人生の中ですごい大きいこと、大事なものなのかなと改めて思った。無くなりそうやからと言ったらあれですけど、無くなったときのことを考えたら、「どうやったらそれを続けられるかなー?」って思うし、「どんだけ大事なもんなのかなー?」というのも、感じるかなー。怖いなー。
岩城:まーー珍しいもんなあ。1人じゃなくて何人も集まって、気が合うメンバーがたまたま集まって、更に音源が作れてみたいなね。なんか奇跡みたいなことやなって。
五味兄:環境的には恵まれてると思うねんけどな。
岩城:うん、環境とか。
そうですよね。この10年で築き上げた繋がりってすごく大きいですよね。
五味兄:それはすごい大きいですね。
岩城:だからかなりミラクルが起きてるんやと思う。
ミラクルが。
岩城:そう考えたら。
五味兄:それを数字で結果に繋げられてへんねん俺ら(笑)。
一同笑い
岩城:まあな(笑)。
五味兄:ミラクル感とかはすごいんですけど。
岩城:そうやな、それを数字で結果にな。
五味兄:結局バイトはしないとアカンみたいな。
岩城:そっちのミラクルは・・・。
五味兄:そっちのミラクルは起きてない。一切(笑)。
今までファンとして追いかけてきてうれしかったのは、ブッチャーズにしろ、中尾憲太郎にしろ、全く思いも寄らなかったバンドと繋がっていったというのは、すごく面白いなあと思いましたね。
五味兄:それは僕らもすごい有難いというか、うれしいですねやっぱり。それ以外にもアジカンやチャット・モンチーの人たち、有名な人たち以外でも、地域のレコード店の人やライブハウスの人とか、すごい応援してくれるというか、愛情を持って接してくれるのは、やっぱりすごい人脈に恵まれたというか。それはすごい宝物というか、そんな感じがすんねんけどな。
それは宝物でしょ。数字よりも、ね。ではそれらを踏まえて、この先10年の展望、野望をお願いします。
岩城:数字ですよね。
数字。五味君は何だかんだで、今まで『売れたい』と言い続けてきましたよね。
五味兄:そうですね。それはやっぱり変わってないですね。評価されたいっていうのも、もちろんあるし、数字として結果を出して、それでしか納得しない人とかもいるんで。そういう奴らに認めさせたいし。あと僕らは今もう3人になったんで、今まで色んな人と関わって、レコード会社ともやってきたけど、たった3人しかいてない。たった3人が音楽で食えへんってどうなんそれ?みたいな。だから1人家族ですけど、今3人家族みたいなもんなんで、こいつらは何とかしてバンドで食わせたいというのは今レーベルをやり始めて、まあ10年かかるかどうか分からないですけど、野望というかすごく考えてますね。こいつらがバイトを辞めるにはどうしたらいいか(笑)。
ははは(笑)。
拓人:っていうのに、10年かけてそこまで持っていくだけの、もう余裕もないし。僕らの個人個人の生活とかで。
五味兄:結構焦ってるとこ、ありますよ。
拓人:今まで自分の生活とかを犠牲にしても、「どんどん突っ走しって行ったれ!」みたいな、若いときの勢いがあったんですけど、それがちょっと失速じゃないですけど、落ち着いて冷静に自分の人生を考えると、もうさすがに時間が無いなって。今の生活をこの先10年続けるのはたぶん無理やろうし。
岩城:だからって、違う生活しても一緒やと思うで。それやったらやった方がええで(笑)。
五味兄:ちょっとだけお前は若いな、まだ。
拓人:若い。
岩城:どうせ死ぬねん。やることやった方がいい。好きなことを。と思うけどな。最近思うな。
拓人:だから好きなことをやりたいから、出来なくなりそうで怖いねん。
岩城:それはある。それはあるけど。
五味兄:じゃあそのために「お前は何をやってんねや?」ってことやで、だから。
拓人:そうやねん。それで、よく怒られるんですけど、それを考えたら、俺ギターを練習していいギターを弾くしかないなっていう。CDの発送とかレーベルの運営とかに関しては、結構丸投げというか。
五味兄:でもそういう意識はずっと持っておかないと。実際に何をやっているかとかじゃなくて。だってお前バイト辞めたら、そういうこともやってもらうで。俺のやってる発送とかさ。グッズ作ったり(笑)。
拓人:どうせやるバイトやったらそういうバイトの方が。
五味兄:本気で仕事にしようとしてるのかどうか、そこがお前は焦ってる割にはまだ中途半端やねん。
拓人:っていうやりとりはよくあるんです。
拓人君って年齢は五味君の何個下でしたっけ?
五味兄:3つ下です。
今年30歳?
拓人:今年29歳です。
若いなあ。まだ若い。
五味兄:焦ってるんですよ、でもいろいろ(笑)。
拓人:焦ってる(笑)。
20代って本当にガキやったなって思いますよ。僕もうすぐ38歳になりますけど。
五味兄:3つ上と言っても、僕もまだ32歳。まだ32歳って言い方も変ですけど。まあまだ分かってないこともいっぱいあるから。そもそも考え方とかが幼いんで。就職もせずにバンドばっかりやってきたから、その辺は甘いっちゃ甘い。その辺は焦らず時間かかっても、ちゃんとやるってこともあると思うけどな。
拓人君はかなり鬱積しているものがあるみたいですね(笑)。
五味兄:辞めるとか言うかもしれないですしね(笑)。
一同笑い
岩城:まあ、健康保険とか税金とか払わなアカンしな。家賃とか。
拓人:そうや(笑)。若いときは、その・・・。
五味兄:若いときって何(笑)?。
拓人:だから20代の前半とかやと、健康保険とか滞納しまくってるで俺みたいな、そういう乗りで、みんなやってたりするけど、そういう風にはなりたくないと思うし。まずちゃんと生活出来てからの、自分の好きなことをやるっていうのが当たり前の生き方やんか。
岩城:ちゃんと地に足つけて?
拓人:そうそう。
岩城:浮き足立ったりするんかな?
五味兄:そのために、だから、やることやれよ、お前(笑)。
拓人:今10年やってきて、自分の生活をちゃんとして、やりたいことをやろうと思ったら、出来るだけ割りのいい仕事もしないといけないし、でもライブもやらなアカンという、そのバランスが難しいというか。結局ライブでバイトを1週間休んでツアーに行きました。そこで稼ぎ出したお金がいくらですっていうのと、1週間バイトに行ったらどれだけ稼げたかっていうのも、やっぱり考えるし。今までライブスケジュールを決める場合でも、そういうのってあんまり意識せずに、これはやりたいからやるっていうのがあったけど、それも考えないとアカンもんな。
岩城:辛いな。
拓人:でもそれをもう考えなアカンやんな。
売れてしまうと、そういうことも一気に解消されるのかもしれないですけどね。ただそうなったらそうなったで、また違う悩みが出てくるのかもしれないですけど。
五味兄:出てくるでしょうね。それだけになったら。
ファンサイトを始めたのは『もっとたくさんの人に知って欲しい』という最初の思いが切欠なので、ライブにもっとお客さんが来て、もっとCDが売れたらいいのになと思いますけどね。
五味兄:いつもありがとうございます。
今のままで大丈夫と思うんですけどね。確かに音楽的には異質な存在であることは間違いないと思うんですよ。今の音楽シーンにおいては。もうシーンってのも無いけど。
五味兄:そういうのも最初は意識してやってたけど、周りがどういうことをやってるから、みたいなのは段々なくなってきた感じはする。何やっても出来ることは大体分かってきたし。周りに対してどうこうというよりは、もっとミニマムな考え方になったというか。僕らの音楽というのはもうある程度出来上がって、伝えるために何をやるかとか、そっちの方に意識が変わってきた感じはしますね。
でも何かの切欠なんでしょうね、たぶん。
五味兄:うーーん。
何か一つ。ポップと言えばポップですもんね、すごい。
五味兄:そうなんですよ。ポップなんですよね。
ポップと言えばポップな音楽ですから。
五味兄:「暗い」とか「ヒリヒリ」してるとか言われるけど、ポップなんですよ、基本的に。
基本的にポップバンドですよね。
五味兄:そうそうそう。そこがね、いまいち伝わってないんですよ。ライブのやり方とかがあるのかも。分からんけど。ポップやのになあ。
何かの切欠。
五味兄:でもその切欠をね、待ってるだけでいいかってのも、そのために何かしないといけないというのもあるかもしれないんで。それは分からないですけどね。難しい。
拓人:肝っ玉が小さいんだな。
一同笑い。
そんなことはないと思いますけど(笑)。
五味兄:そんなこと言うな(笑)。そんなことない(笑)。
拓人:俺最近自分で自分のこと、そう思うわ。すごい。そういうのも考え始めると、余計にビクビクしてるというか。
岩城:リアルやな。
五味兄:乗り越えていけ(笑)。
拓人:そういう時期があって、乗り越えていけばいいと思うねんけど。冒険できへんというか。
五味兄:30歳超えたらコクが出てくるねん。
拓人:そういうとこ俺弱いと思う。一番。
今日は相当弱いモードをさらけ出してますね(苦笑)。
岩城:なんかあれやな、インタビューを読んで、「バンドって辛いな」みたいな感じになるかもな(笑)。あんまり夢のあるようなイメージじゃない。
拓人:そんなん今やもう無いんちゃう?
岩城:無いのかな?
いや、そんなことないでしょ?
岩城:もっと夢を出していきたいけどね。
五味兄:それは『無い』と言ってしまったら何も出来へんぞ。
岩城:アカンで。
うん。
拓人:だから傍から見てバンドドリームみたいなさ、そういうのを夢やと俺は思うから。
五味兄:だからバンドに見る希望ってのは、そういうデッカイもんじゃない。大金とかじゃなくて。もっとなんか、なんて言うの。
拓人:しんどいけど、何人かが集まって何かを作り上げて、何かを成し遂げていく、そういうドリームはあると思う。
漫画の『BECK』みたいなやつですか?
拓人:いや、あれはまた違うんですけど(笑)。
岩城:まあ無いわなって、思う。
拓人:じゃなくて、もっと汗臭いというか、学園祭みたいに、みんなでこれを作って、出来上がったなっていう、そういう達成感みたいなんは、あるかな。
岩城:学園祭がしたいの?
拓人:まあ単純に言えばそういうことちゃう?
一同苦笑。
拓人:それがお金になるか、ならんかとかじゃなく。
五味兄:そこはお前もっとハッタリかましていってもらわんとさ(笑)。
ほんまや(笑)。
五味兄:一緒にやってる身からしても、お客さんから見ても、「アイツについて行きたい」ってならへんと思うで。そんなショボイこと言ってたら。
まさかの最後にダメ出しで(笑)。
五味兄:そこはハッタリかまして欲しいとこや。「アイツについて行ったら何か面白いこと起きるんちゃうか」みたいな感じの希望はお前が見せていかなアカンのちゃう?
拓人:そういう立場っていうのを分かるねんけど。弱さが、溢れ出してしまう(笑)。
一同笑い
五味兄:それは何とかしろ(笑)。
拓人:自分の弱さがもうここから溢れ出してしまってるねん(笑)。
五味兄:飲め!
拓人:いろんなことがあり過ぎて。
五味兄:締りの悪い(笑)。
岩城:せっかくな、命がけで作った音源がいきなりアップロードされたとか・・・。
拓人:流出したとか・・・、もうなんか。何なんやろ!みたいな・・・。
そのダメージがあるのかもしれないですね。確かに。
五味兄:そこは乗り越えていけると思うで。
拓人:だってさ、10年やってさ、自分らのお金を赤字にしてやで、レコーディングしてさ、「よっしゃ、やっと出来た!」ってものがいきなり流出しました、みたいな。10年やって、メッチャがんばってやってきて、見てる結果がこれかよ!みたいな。残念過ぎてなんか。
岩城:アップロードなんか一瞬やもんな。俺らが10年かけてやってきたことが。
あああ、でもそれは一番残念なことですね。
拓人:俺らの10年がワンクリックで「はい、タダ」みたいなさ。そういう悲しさみたいなのはやっぱりある。
岩城:あるね。それはあるね。
拓人:悲しすぎる、それは。
もう収集付かなくなりそうなので、大人な意見で前田さんがフォロー入れてもらっていいですか?(笑)
一同笑い
五味兄:立ち直れへんくなってきた(笑)。
拓人:残念過ぎて。
五味兄:そこはでも、それはそれ。
拓人:そうやな。
五味兄:俺らの10年には関係ないから、それ。アップロードされたとか。
積み上げてきたその10年が台無しにはならないですよ。
五味兄:逆に、今までそんなこと無かったわけですよ。それが出るようになったということ。出て、ちょっと騒がれるくらいになった、ってことや。
拓人:2ちゃんねるにスレッドが立ったみたいな乗りやな。
五味兄:そういう乗り。そんだけ有名人やと思うくらいでやらな、これからもあるで、いろいろ。
拓人:有名税。いいねそれ。
五味兄:叩かれてなんぼや。そこは。
拓人:まあでも残念やな。
五味兄:だから今日さ、みんながライブで口ずさんでたら、それはそれで面白いわけやん。TWITTERで言ってたやん。
一同笑い
拓人:あれは、俺結構がんばってた(笑)。
五味兄:こいつ面白いなって思って見てたけどな(笑)。
拓人:俺もう、ちょっと親指震えとったからな(笑)。ちょっと動揺してたもん(笑)。
一同笑い
そらそうですよね。当事者ですからね。いろんな思いが詰まってるわけですからね。
五味兄:それ込みで、これからを考えていくというのが、面白いんじゃないでしょうかね。
拓人:しょうがないか。
五味兄:ハッタリかましていかな。
でも僕らは変わらず楽しみですよ。今までもそうだったし、これからも。
五味兄:ありがとうございます。
10年先とかは分からないですけど、まずはこの作品のツアーが楽しみなのと、次の作品が楽しみです。ファン冥利に尽きますね。そこはね。
五味兄:僕的には、今日ここに来て、代表曲を作るっていう大きなテーマが。考えてもなかったから、こうやってインタビューをやってもらって、そういうふうに思ってくれる人がいるって。そういうことを考えて今までやってなかったから、次のアルバムとかにそこを何とかしたいなっていう、気持ちにすごいなりました。
拓人:ポジティヴ発言やねえ(笑)。
せっかくファンサイトでやるインタビューだから、こうやって思ってることを直接聞いてもらうのも、ありかなと思って言ってみたんですけど。
五味兄:すごく分かるなって思って。考えてなかったから。
拓人:どうなんやろな、そういう僕らの私生活のこととか、生活がどうこうって話を僕らよくするじゃないですか。そういうのってあんまり聞きたくないもんなんですかね?
五味兄:いろんな人がいるんちゃうか、そりゃ。
そんなに出しては来てないですよね、今まで。大っぴらには。プライベートなことは。
五味兄:でも比較的生活感があるバンドだと思うんですけどね。
岩城:TWITTERとか始めてからちゃう?
五味兄:でも、そこは夢見てたいところやから、そんなことまで言わないで下さいって人もいるし、そうじゃなくて等身大がいいと思う人もいるから、それはどっちでもいいと思うで。まず自分に嘘を付かずにやったらいいんちゃう(笑)。やりたいことを。
拓人:やってんねんけどな(笑)。
五味兄:みんながお前の生活を知りたいから言うっていうことじゃないやん。俺らがやろうとしてることって。
拓人:ってことではないねんけど、「自分が出してしまってもいいか」みたいな感じで言ったときに、どう思ってるんやろなみたいな。それに対して。
五味兄:そんな言うほど興味ないって俺らに。
拓人:興味ないか。
自主イベントのタイトルも『生活』じゃないですか。
五味兄:あれは、僕らテーマとして、『音楽』と『生活』があって、そのバランスを取りつつ今までやってきたし、これからどうしていくかとかも、常に考えてきたから。『SHOWNEN』みたいな感じでいい語呂じゃないですけど、響きを探したときに、日本語で、『生活』って。
拓人:でもな、いいよなバンドって。音楽ってな(笑)。
結局そこに落ちついたんですか?
拓人:結局そういうので、不安とかになっても、結局音楽に逃げるじゃないですけど、救われにいくみたいな。自分の好きな音楽を聴いて、「ああ、やっぱり音楽っていいな」って思って、ちょっと「はーーーーー」ってなる。
五味兄:それがお前のいいとこやで。
拓人:ふっはっはっは(笑)。
一同笑い
拓人:そういう歌が作れたらいいなって思いますけどね。自分がそうやって救われたから。聴く人がそういうふうに何かあったときに。何かあったときに聴く音楽を作りたいってわけじゃないですけど。
まあ、音楽ってそういう一面があるものですからね。今日は長時間ありがとうございました。